2015年2月10日火曜日

コミュニケーション力の違いが業績の違いになる




▪️企業活動の問題のほとんどはコミュニケーションの悪さに原因があります。

同じ商品を販売していて結果に違いが出るのは、どんな業界にもあり不思議なことではありませんが、それにしても違いが出るのは、なぜでしょう?

分りやすくするために、安直ですが三段論法にまとめます。たとえば、販売価格が高いのは仕入れが高いから。それは販売力の弱さに起因する。そして、販売力の弱さの原因は、社内コミュニケーションの悪さにある。と、まあこんな感じです。これは事実です。

ビジネスとはコミュニケーション力、人間力は人間関係力です。
いいかえれば、才能という点を繋いで線にして行動しないと成功は困難です。 いくら優秀な人材を集めても、歯車がかみ合わず、個々の力を十分に活かすことができないケースは、思っている以上に多いのです。

逆に優秀な人材の集団よりも、一人一人が十分に自分の力を活かすことができる密度の高い連携をとる人間関係、仕組みを持つ組織が勝ることもあります。「コミュニケーションの力」です。

競争が激しさを増しても、人の本質は変わりません。人はみんな、自分のことを価値あ
る存在と思いたい。そのために生きています。人間関係の力学に適応し、一貫した目的
を持つコミュニケーションが、人を育てると同時に人と人を有機的につなぎます。


■問題発生時のコミュニケーション術「3つのステップ」

コミュニケーションは相手のあること。相手の感情に注目しながら、自分にできる行動を
選択することが欠かせません。自分の感情のまま行動に発展させず、相手の感情も意識的に確認していく必要があります。ここで気をつけるのが、相手の感情ばかりを気にして自分の感情に注意を払わないことです。自分の感情を無視したり抑圧するのは、逆に感情的な行動の原因になります。建設的で気持ちのいいアサーティブなコミュニケーションには、自分の感情の把握やコントロールが不可欠です。

平常時、自分の感情に意識的でいることは、それほど難しくないかもしれません。ところが何か問題が発生したときに、感情の意識外になるので感情をコントロールしていくことはとても難しいものです。
そんな時には、以下の3つのステップを意識して問題に対処してみてください。感情に流されない建設的なコミュニケーションを開始できます。
(1)起こっている事実を把握する
(2)自分の感じ方を確認する
(3)解決のための最適な方法を考える。

現状を自分も含めて俯瞰する態度です。ところが問題があって不安が募ると、その不安に押し流され、自分の感情を客観的に捉えることのできない状況に陥りやすいのです。

すると最後の(3)のステップに到達することなく(1)や(2)の状態からコミュニケーションを始めてしまいます。
(1)から先に進めない状態とは、事態の大きさに萎縮して、自分の感情にも向き合え
ないことがあります。
この状態からコミュニケーションをスタートしてしまうと、相手に「状況の解釈」「と
るべき解決策」を完全に委ねてしまいます。いわゆる「傍観者」の状態です。
また(2)から先に進めない状態とは、「自分は被害者だ」と錯覚しがちな状態です。
ここからコミュニケーションをスタートすると、過剰に相手を責める、あるいは必要以上に責任を感じて、客観性のある合理的な判断ができません。結果的に「加害者」にな
ることも少なくありません。

こう考えると、大きい不安があっても、乗り越えて(3)の状態に達するべきだといえ
そうです。しかし、言うのは簡単ですが、そのためには、ちょっとしたコツが必要です。

難易度の高い問題ほど、不安も大きいのが正常です。不安を恥じることはありません。
まずは、自分を(3)の状態にするように努めてください。それがコツです。

(2)のステップで、感じたままに行動せずに、自分の感じ方を客観的にとらえなおし、
目的達成にふさわしい行動を選び、実行することです。

人間は何かに没頭すると、いつの間にか「不安」を忘れてしまうものです。
たとえば冒険活劇のヒーローたちを思い起こしてください。苦難に遭遇しても、ポジティブ、楽観的に難攻不落の要塞を攻め落とします。彼らの勇気の源泉は、いまこの瞬間、もっとも適切な行動の選択と実行に忙しく、考えても仕方のない不安や恐怖にとらわれている
時間などないのです。


■最善のコミュニケーションのために
先に述べたように、コミュニケーションのはじめ方には3つのステップがあります。

目的があり、求める結果を出すには、最適なタイミング、最適な場所を意識して始める必要があります。
たとえば、すれ違いざまに重要な案件を依頼するのと、時間と場所を予め約束した後に
打ち合わせするのでは、どちらが相手に響くでしょうか?もちろん後者です。

ただし、いつ、どの場所で伝えるのが正しいのかという問いに絶対的な正解はありませ
ん。用件、重要度によって、その都度、最適な方法を考える必要があります。
どんな言葉、どんな言い回しで、と考える人は多いのですが、同じくらいに場所、時間
などのシチュエーションを考慮するのは、とても重要です。
「そんなこと今更いわれなくても分っているよ」という声が聞こえてきそうですが、皆
さんが思っている以上に、自己肯定感の乏しい人が多い職場では感情的なリアクションが多くて、できていないことの方が多いものです。



●進化する組織、停滞する組織

人の力は大別して2種類あります。一つが、肩書きや地位による権限や権威、所有物、専門知識・技術など、外部(他者)の評価によって計られる「外部評価による力」。この力の特長は見えやすい、分かり易いことにあり、DO(なにをするか、なにをしたか)にあることです。
もう一つが、適応力、気付き力、協調性、自主性など様々なプロセスの中で発揮される
内側のスキルともいうべきBE(在り方)の力、「じぶん力」です。
BE(在り方)の力を「じぶん力」と呼ぶ理由は簡単です。他者の評価に依存することなく、自分で納得できるからです。

この2つの力。組織を維持していくにはどちらも必要ですが、どちらを重視してコミュ
ニケーションをするかで、組織の質は大きく変わっていきます。

人は誰でも自分は大切な存在だと思いたい。そのために生きています。ですから周囲の
人の評価を気にして「外部評価による力」を過剰に重視する傾向があります。
「外部評価による力」は他人から見て明快な評価だからです。特に「外部評価による力」偏重になりがちなビジネスシーンでは、上下関係重視になります。活発な意見の交換が行われず、上意下達な単調なものになりがちです。上から下という関係での仕事は、作業を求めるだけならその方が合理的という考え方もあります。

しかし、それで「やりがい」を感じることができるでしょうか?それでは、言われたことだけをしていたらいいという考え方を強めるだけです。これでは相手の「じぶん力」である、気付きや、適応力などを活かすことができません。

一方、「じぶん力」重視のコミュニケーションでは、自分や相手のポスト、ポジション
にかかわらず対等な立場で、一人一人の意見、気付きなどが共有されます。活発な意見
交換が行われ、有機的に人をつないでいきます。
ほとんどの場合、仕事はチームワーク(役割分担)です。自分のポスト、ポジションで
発言することが必要な場面はもちろんありますが、対等な立場で、率直、誠実にコミュ
ニケーションをとることで、より多くの意見、気付きができます。

「外部評価による力」と「じぶん力」。どちらを重視してコミュニケーションをするかが、「進化を続ける組織」「停滞する組織」の分かれ道といっても過言ではないと言えるのではないでしょうか? 

たとえば業績アップにしか関心がなく、数値目標の進捗状況しか話されない会社と、在り方への関心が強く、たとえば肯定的な態度を気にかける会社では、どう違うでしょう?

数値は結果でしかないので、どっちにしても気になる課題であることに違いはありません。BE(在り方)を重視した人間関係の仕方が肯定的であればユーザとの関係でも社内の関係でも良い関係が構築しやすいので結果的に数値目標も向上してきます。しかも継続されやすい特長があります。
一方、DO(なにをするか)に注目し特効薬的な手法を使って伸ばした業績は、即効力があってもその場しのぎになりやすい欠点があり、いずれ停滞に陥る危険があります。


BE(在り方)とDO(なにをするか)のどちらに注目してしまうか、それを決定づけているのがコミュニケーション力なのです。うさぎとかめの競争を思い起こしてください。うさぎは亀のペースを見て判断して大失敗しますが、亀はひたすら自分のベストを尽くします。この態度の違いこそ自身との、つまり日常的なコミュニケーション力の違いなのです。

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