2015年3月31日火曜日

ビズ・アサーティブ〜強みに注目する



日本ほど「みせかけのやる気」が罷り通っている国は珍しいのも事実です。
先にお話したこと「終身雇用制度」のもたれ合いに起因しますが、いつまでもそういうわけにはいきません。かと言って、課題を発見してメスを入れようというのではありません。

病院に入って治療するのではなく、スポーツクラブで鍛えるのが、<ビズ・アサーティブ>のやり方です。
いまある会社を、生きる熱意、仕事を楽しみ、暮らしを楽しみ、人生を楽しむ熱意、で塗り替えるとしたら、問題を発見して課題を設定するのではなく、強みを発見してぐんぐん伸ばす方が手取り早いと言えます。

クレドを作る時、インタビューしますが、会社が聞きたいことを聞くのではなく、多くのパートナーが「働きがいのある会社」とはこんな会社と答える状態を聞くことに尽きます。その他のステークホルダーに対しても同じです。そして強みをピックアップします。

どんな会社にも不具合があります。どんな人にもダークサイドがあります。しかし現実は悪い点を是正、修正するだけで成長しません。

先にお話したように、肯定的な構え、成長する意欲がなければ、違いを生み出す違いを育むことはできません。

否定的な構えから「私とともに、幸せな人生を送ろう」という生きる熱意、仕事を楽しみ、暮らしを楽しみ、人生を楽しむ熱意は湧いてきません。



否定的な構えのリーダーについてくるのは、やはり否定的な構えの人だけです。人間の集団は機械と違うので、問題点を改善すれば、良くなるというわけにはいかないからです。チームワークの本質は、それぞれの長所を組み合わせるわけですから、チームワークで成長するには、強みをテコにして成長の機会を修正します。




ビズ・アサーティブ〜心の病とイノベーション



精神疾患をかかえた副操縦士によるドイツの格安航空会社墜落事件は世界に衝撃を与えていますが、メンタルヘルスの低下は日本でも増加の傾向にあります。その原因のトップは「職場の人間関係」で30%を超えています。以下「仕事の問題」「職場環境の問題」が続いていて、本人や家庭など個人的な問題は大きな割合を占めていません。職場に於ける「心の病」の大半は職場に潜んでいるのです。そこには「心の病」予備軍がいることに注目しなければなりません。

精神的な安心感が高くなければモチベーションを引き出すことは難題です。人材を人財といってみたり人への関心は高くなっているように見えます。個の尊重も当たり前のように思えます。しかし就活している若者がその段階から、先取的なイメージのある大企業でさえ、ほとんどの会社から「個の尊重が感じ取れない」と訴えているように、大多数の人が建前にすぎないと感じているのです。

イノベーションを起こせずらい原因も、人材の資質と知恵を活かしきれていない、人をマネジしすぎる体質にあります。このため見えない防御が過剰に働いていてモチベーションを引き出せないのです。人材重視と言いながら人のマネジに重きを置きすぎ、環境のマネジをないがしろにしすぎる傾向が強いようです。

従業員を「ともにやる」真にパートナーに見立て、元気になれる、やる気になる、仕事に集中できる環境を整備することが重要すぎるほど重要なのです。

組織になにかを導入しようとすると、制度、施策が必要になりますが、どのような場合でも制度、施策は目的ではなく手段に過ぎません。手段は目的を達成するに後押しをするサポートでしかありません。ところが頑張っている内にいつの間に目的化してしまい、肝心の「パートナーが働きがいのある会社」になかなか届かないので意識と乖離した建前になってしまうのです。

会社にとってパートナーとは、新しい価値を生み出す源泉です。実際、イノベーションのはじまりは現場での「業績改善への挑戦」という正しい葛藤から生まれています。PDCAの繰り返しから誕生した小さな成果をすくい上げて、企業の知恵にまで高めているのが本社、本部なのです。本社、本部は差別化を実現するイノベーションが起こりやすい、沸き立つモチベーションが起こる、環境を整備することこそ本分だと心得、挑戦的な風土創りに邁進したいものです。




2015年3月28日土曜日

ビズ・アサーティブ〜違いを生み出す違い



働きがいのある会社の特長は、パートナーが仲間と共に一体感をもって、社会、人々に貢献していることを実感していて誇りにしていることです。そしてそれが意図されたものだということであり、次の5つのキーワードによって成立しています。


・誠実
・尊敬
・対等
・誇り
・連帯感



この背景には、<アサーティブ>を支える率直、誠実、対等、自己責任の4本柱があります。

具体的な施策は、採用することを起点として次のプロセスを通過します。

1.採用
2.歓迎
3.触発
4.語りかけ
5.傾聴
6.感謝
7.育成
8.配慮
9.祝福
10.共有

これはパートナーと共に楽しむためのプロセスで、起業家精神から生まれます。

何度も言うように、起業家精神から生まれるものが「楽しむこと」です。

「私とともに、幸せな人生を送ろう」という生きる熱意、仕事を楽しみ、暮らしを楽しみ、人生を楽しむ熱意、すなわち「起業家精神」「リーダーシップ」の違いがあります。これこそが違いを生み出す違いなのです。

目的を持ち目標を設定して、そこにたどり着くためのプロセスを楽しむのです。起業家精神と楽しむことは切っても切れない表裏一体の関係にあります。起業家精神がなければ楽しむことはできません。

そして多くの職場では、この問題で悩んでいますが、そこでは<働きがいのある職場>のことをあったらいいし、なくても利益に大した影響はないぐらいに思っているので、本気で熟慮することも少ないようです。しかしこの態度こそ、利益にもっとも影響している大問題なのです。

<働きがいのある職場>と<働きがいのない職場>の違いは、明らかに競争力の違いになって現れますが、容易に真似できないので愚かにも直視しません。

そして競争力の違いを他に求めますが、自律したマインドで主体的に活動するパートナーと、従属的に動くパートナーの働き方が同じであるわけがありません。

この事実を知っていて実行している会社の業績を知ったとしても、「うちと同じように考えられない」と言って一線を画しますが、<働きがいのある職場>が一夜でできたわけでも、企業規模がいきなり拡大したわけでもないのです。

そこには「私とともに、幸せな人生を送ろう」という生きる熱意、仕事を楽しみ、暮らしを楽しみ、人生を楽しむ熱意、すなわち「起業家精神」「リーダーシップ」のに違いがあります。これこそが違いを生み出す違いなのです。

否定的な構えのリーダーとともに働きたいと思うものは余程の変わり者か、同じように非生産的な否定的な構えの者しか寄ってきません。生産的な人間であれば、肯定的な構えのリーダーの元によってきます。そのバロメーターは<起業家精神>が隅々に見られる「働きがいのある職場」なのです。


2015年3月27日金曜日

ビズ・アサーティブ〜起業家精神




<起業家精神>とは、リーダーシップに他なりません。

リーダーシップの定義な人によって違うでしょうが、何にしてもリーダーシップは<肯定的な人間関係の仕方>からしか生まれません。つまり「私もOK,あなたもOK」の構えを体現できる人です。

なぜなら、率直、誠実、対等、自己責任というアサーティブなコミュニケーションができない、自分と同じように他者を尊重できない人には(ヒトラーのような状況を除けば)根本的に不可能だからです。

私は次のことが実際にできること、行っていることを条件にしています。

 • 明確な目的を持ち、チーム全員に行く方向(目標)を鮮明に示すこと。
 • その目的を達成すると、どうなるかを全員に認識させること。
 • その目的、目標には大義があること。
 • 目標は北十字星の如きであること。
 • 誰一人として疑う者なく、全員がやれると信じていること。
 • 目標に圧し潰されないようにマイルストーンがあること。
 • 毎日は地味だが目の前の成すべきことに無我夢中で取り組むこと。
 • マイルストーンを命のように大切にして毎日の達成を祝福すること。
 • 毎日PDCAを回して常に改善を図ること。
 • 常に最悪の状態を予測、想定して、準備すること。
 • それでも起こったトラブルは楽しむこと。
 • どんな悪い環境でも、すべてを受け入れること。
 • ストレスに対して感情の渦に身を置いて逃げ込まないこと。
 • 放置すればその日の内に情熱は失せる、消えない前に全員に火を点ける

これら<すること>の基礎には、<在り方>があります。

<在り方>は様々ですが、普遍的な<在り方>として、自分を含むステークホルダーたちが健康で幸福な人生が過ごせるようにしようとする<在り方>に他なりません。

先にヒトラーのような状況を除けばと言いましたが、ヒトラーの間違った成功は国民に北十字星が示せたことにあります。逆に言えば他のどれもができていても北十字星が示せない人はリーダーにはなれない、なってはいけないのです。

つまり幸福な人生のある場所を示せない人に<起業家精神>を求めることはできないのです。起業しても失敗します。「自分さえよければいい」という考え方は通用しないことを意味しています。「顧客満足」「従業員満足」「働きがいのある会社」が重要視されるのはそのためです。しかし日夜、対峙している人はどうれほどいるでしょうか?それが現実です。裏返せば違いを生み出す違いはすでに手の中にあるということです。

人生を謳歌する秘訣は楽しむことにあります。決して苦労するためのものではなく、幸せで楽しい日々を過ごすためのものです。しかしワークライフバランスが問題視されることでも分かるように多くの人は間違った考えを持って間違った行動をしてしまうことで、辛い人生を過ごしています。<起業家精神><リーダーシップ>とは、これを是正し、健康で幸福な人生が過ごせるように誘導するものです。

私たちは地球上で暮らしているすべての人々と関わることができません。限られた時間の間で、限られた人としか接することができません。つまりビジネスはそれ自体が<コミュニティ>なのです。

<コミュニティ>が大きく開かれ、健康で幸福な人生が過ごす上で、有意義なものであればあるほど、人は<コミュニティ>に参加してきます。この<コミュニティ>で使っていただける費用の中に、商品、サービス、情報など原価とコミュニティを維持する手数料が含まれています。その一部を利益と呼んでいるのです。

リーダーシップは、家庭を持ち、子どもを育てる人にとって、誰もが必要としているスキルなのです。現実には人それぞれに能力の限界があるので、誰もが持つことはできませんが、リーダーシップこそが社会人としてのスキルです。実際に起業するかどうかはともかくすべての教育はリーダーシップを育むためにあると言っても過言ではありません。

リーダーシップを仕事を進める上でのリーダーととらえるべきではありません。それを言うなら部下を持つプロフェッショナル、部下を持たないプロフェッショナル、部下となるワーカーというように役割分担上の役割でとらえるべきです。リーダーシップは共有しているスキルととらえるのが健全です。

ですから<働きがいのある職場>ではリーダーシップ、つまり起業家精神を共有します。
そのためにまず肯定的な考えを職場に浸透させることから始めます。

それを具体的にまとめると次のようなことに集約できます。

  • 肯定的な言葉
  • 肯定的な態度
  • 肯定的なイメージ
  • 健康的な生活
  • 肯定的な仲間づくり
  • 感謝の視点を持つ
  • 肯定的な視点

試しに次の質問に答えてみてください。


肯定的な言葉
  • 明るくポジティブな言葉を口ぐせにしていますか?
  • 誰に対しても、挨拶は欠かさず自分から率先してしていますか?
  • 肯定的な言葉、なかでも「ありがとう」をよく口にしますか?
  • 愚痴、不平不満、悪口、不安、悲観など否定的な言葉は使っていませんか?
肯定的な態度
  • 活き活きとした態度、良い姿勢を実践していますか?
  • 笑顔、微笑みは多いですか?
  • 感情的な態度はしないようにコントロールしていますか?
  • うまく行かない時でも、落ち込まずやり直してみようとしていますか?
肯定的なイメージ
  • 目標を達成するイメージを頻繁に思い浮かべますか?
  • 周囲の人が喜んでいるイメージを頻繁に思い浮かべますか?
  • ネガティブな感情的なイメージは見方を変えて排除するようにしていますか?
  • 1日の始まり、1日の終わりには、 肯定的なイメージを思い浮かべていますか?
健康的な生活
  • 毎朝、さわやかに起床していますか?
  • 食欲はあり、毎朝、朝食を摂っていますか?
  • 動くことを嫌がらず、運動を楽しんでいますか ?
  • 体幹筋の向上に気を配っていますか?
肯定的な仲間づくり
  • 周囲の人は肯定的ですか?
  • 周囲の人に明るい挨拶や聞き上手などの肯定的な刺激を与えるようにしていますか?
  • 周囲の人にチャレンジする心を奨励していますか?
  • 周囲の人の幸福を共感していますか?
感謝の視点を持つ
  • 健康に感謝していますか?
  • お金や物、自然の恵みに感謝していますか?
  • 仕事や趣味に感謝していますか?
  • 先祖、家族、周囲の人々に感謝していますか?

肯定的な視点を持つ
  • なれる最高の自分になるように意識して暮らしていますか?
  • 問題を自己成長のチャンスとポジティブに受け止めています?
  • 何ごとにも、具体的な対策を立て、行動していますか?
  • 大局を見失わないようにしていますか?

これらはどれも「していますか」という <DO>に対する問いかけですが、その前提に<BE~在り方>があるのは言うまでもありません。<BE~在り方>が整っていないと、いくらやっても見せかけに終わってしまい、長続きもしません。

<働きがいのない会社>では、これらのことに無関心です。つまり仕事をする環境に無関心なのです。マネジメントとはなにがあっても目的を達成することですが、そのためには障害を乗り越えなければなりません。つまり障害を取り除くことがマネジメントなのです。さらに言えば障害を起こりそうなことを前もって取り除くのが、優れたマネジメントです。
<働きがいのある会社>は、そのものなのです。




否定的な人間関係の仕方がまかり通っていても、気にもしません。自分と同じように他者を尊重できない態度、行為を見過ごします。ネガティブな側面に注目して、すでに手中にある違いを生み出す違いは放置されたままです。このような文化の上に、つまり砂漠に花が咲かないように、肯定的な人間関係の仕方のないところに、ポジティブな取り組みは行えないのです。

肯定的でないとは、できないと思っているので危機に鈍感なのです。だから備えに無関心になります。言葉の上では、いろいろ言っても本気ではありません。
肯定的だと、やりたい、できると思っているので、危機に敏感になります。


先に書いたように、リーダーシップは、家庭を持ち、子どもを育てる人にとって、誰もが必要としているスキルです。リーダーシップこそが社会人としてのスキルです。実際に起業するかどうかはともかくすべての教育はリーダーシップを育むためにあると言っても過言ではないのです。

と言うと誤解されそうですが、人生は楽しむためにあります。この意識こそが人生の軸となるもので、仕事の軸にもなります。これがブレるのですべてがおかしくなり否定的な人間関係の仕方にも無頓着になります。


起業家精神、リーダーシップとは、自分と周囲の人が生きることを最大限に楽しむためのスキルなのです。だから肯定的な構えが不可欠なのです。


2015年3月26日木曜日

ビズ・アサーティブ〜働きがいのある職場とは

あなたはパートナー(妻、夫、恋人)に、「私のために愛しなさい。そうすれば愛を少し返そう」と言うだろうか?そうすると相手は「はい、そうします」と言うだろうか?
それとも「私とともに、幸せな人生を送ろう」と言うだろうか。
それと同じことなのです。

<働きがいのある職場>とは、人を使うことでも、使われることでもないのです。その代わり共有する何かが必要になります。


何か。

<働きがいのある職場>を貫いているのは、ひとことで言うなら「起業家精神」です。それこそが共有するものです。そして起業家精神から生まれるものが「楽しむこと」です。
目的を持ち目標を設定して、そこにたどり着くためのプロセスを楽しむのです。起業家精神と楽しむことは切っても切れない表裏一体の関係にあります。起業家精神がなければ楽しむことはできないのです。

そして多くの職場では、この問題で悩んでいますが、そこでは<働きがいのある職場>とはあったらいいし、なくても利益に大した影響はないぐらいに思っているので、本気で熟慮することも少ないようです。しかしこの態度こそ、利益にもっとも影響している大問題なのです。

<働きがいのある職場>と<働きがいのない職場>の違いは、明らかに競争力の違いになって現れますが、容易に真似できないので愚かにも直視しません。そして競争力の違いを他に求めますが、自律したマインドで主体的に活動する従業員と、従属的に動く従業員の働き方が同じであるわけがありません。この事実を知っていて実行している会社の業績を知ったとしても、「うちと同じように考えられない」と言って一線を画しますが、<働きがいのある職場>が一夜でできたわけでも、企業規模がいきなり拡大したわけでもないのです。
そこには「私とともに、幸せな人生を送ろう」という生きる熱意、仕事を楽しみ、暮らしを楽しみ、人生を楽しむ熱意、すなわち「起業家精神」「リーダーシップ」のに違いがあります。これこそが違いを生み出す違いなのです。

否定的な構えのリーダーとともに働きたいと思うものは余程の変わり者か、同じように非生産的な否定的な構えの者しか寄ってきません。生産的な人間であれば、肯定的な構えのリーダーの元によってきます。そのバロメーターは<起業家精神>が隅々に見られる「働きがいのある職場」なのです。

<起業家精神>には、様々な要素が含まれていますが、具体的にするのがステークホルダーとの関係性です。ステークホルダーとは利害関係者ですが金銭的な利害だけではありません。ステークホルダーには<社会>、私たちが実感できる範囲に置き直すと<地域社会>になります。ステークホルダーとどのような関係を築くかで応援のされ方も変わってきます。

ステークホルダーとの間でどのような関係を築くのか、具体的で明確な目標を持つことが、最終的に<会社力>を決定します。<会社力>は従業員の総和ですから、ひとりひとりの従業員の力が肯定的で絶対的に高ければ、他社との違いを生み出す違いとなって優位に働きます。ただし単に総和ということではなく、もっとも弱いところに引き下げられるので注意が必要です。

しかし、それを目的に<働きがいのある職場>を作るというのではなく、<起業家精神>を養い育む結果として得られるもので、プロセスにこそ力を注ぐべきなのです。







2015年3月25日水曜日

ビズ・アサーティブ〜働きがいのある職場にする



少子化が進む日本で、優秀な人材を獲得することは重要な課題です。分かっていても実際に対策を打っている会社がどれほどあるかと言えば、かなり疑問です。特に中小、零細となるとすでに労務倒産の危機すらあるのに、危機に実感のない会社が少なくありません。
いまだに「雇ってやっている」の上から目線でいるところもあるのには驚きです。

「死ぬ気で頑張ります」と上司に報告した一応「管理職」にある人がいます。正直、これほどいい加減な人はいないと思いましたが、上司の方は鵜呑みにしていない”まで”も、ご満悦な様子でした。

その結果を知るのに、3ヶ月とかかりませんでした。目標に届かない状態が続いていましたが、具体的な対策は何も打たずじまいです。どうしていいのかよく分からないのです。
「死ぬ気で頑張ります」などと言えてしまうのは、無策だからです。万が一の状態に陥った時の具体的に対策を練るのに追われていれば、こんな言葉はでてこないものです。

感情的な会話で済んでいく事業所には、感情的な人が集まっています。つまりノンアサーティブか、アグレッシブな人たちが集まっている事業所ということです。

アサーティブであるとは、ひとこと、ひとことを具体的に伝えることが条件です。ですから「死ぬ気で頑張ります」というのなら、どのような活動を準備しているのか、具体的に報告できなければなりません。

依頼する場合も、謝罪する場合も、主張する場合も、そうです。叱る場合もそうです。具体的に伝えるコツは同じです。共通しているのは、率直、誠実、対等、自己責任が貫かれていて、曖昧で抽象的な感情論を排しています。

それは営業成績を良くするため、社内の人間関係を良くするための必要条件だからですが、それだけではありません。「働きがいのある職場」にするためです。

「働きがいのある職場」と「働きやすい職場」を同じだと思い込んでいる方も少なくありませんが、全く違います。「働きやすい職場」にするには、コストを投資するだけで、かなりの部分、実現できます。


しかし「働きがいのある職場」にするには、いくらコストを投資してもできません。組織に従属する人々にアサーティブな言動、態度。そして仕組みが必要です。ではどうすれば、アサーティブな「働きがいのある職場」にできるかお伝えしていきましょう。








2015年3月21日土曜日

ビズ・アサーティブ〜主張する

「そういうことなら、Aには無理だったと思いますよ。私どもに言っていただけら難なくできましたのに。」

当人は自分をアピールしているつもりですが、他をけなしていて、いい印象にはなりません。しかもどのように得意なのかわかりません。

相手目線で、相手のために「何ができるか」を率直、誠実、対等、自己責任をわきまえて伝えるのが、アサーティブな主張の基本です。その意味を具体的に考えてみましょう。なにをしてきたのか、どういう結果を出してきたか、そのためにどういうスキルがあり、磨いてきたのか、事実で伝えることが大切です。

「この業界で10年間、神戸、岡山を中心に中国、西日本で活動しています。営業しています。
お客様の声にお応えして、それまでになかった⭕️⭕️を開発したのも私どもです。ないものを作り出すのはうまくいかない末の対策なのですが、諦めずに取り組むのが私どもの強みです。御祉のご要望にも対応させていただけると思います」


ビジネスの場面で、謙遜するのは、相手に対して失礼です。なぜなら相手に対して解決すべき問題があるからです。そこで必要とされるのは、事実を「ありのままの姿」で伝えることが積極的な「自己主張」です。契約欲しさに大げさにないことを伝えるのは「詐欺」です。上から目線でやたら意味のない否定をする人がいますが、空虚な自慢は信頼につながることはありません。


相手が必要としているのは、どんな結果に連れていってくれるかを等身大でイメージできることです。張子の虎の遠吠えは不要です。

ビズ・アサーティブ〜謝罪する

謝罪する場合も、依頼する時と同じように、具体的に伝えることが大切ですが、いたずらに謝るばかりになると、なにを言ってるのか分からなくなります。

「すみません。本当に申し訳ありません、なんとお詫びしたらいいやら、お詫びのしょうもありません。このようなことが二度とないように気をつけます。」

当人は心から謝っているようでも、実のところ、なにを謝っているのかさっぱりわかりません。結局、その場しのぎの口先だけの謝罪のように思えます。

「このたびは、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。やれることは全部やりました。さらに次の対策を一刻でも早く考えます。まず打ち手の優先順位が間違っていないか、確認させていただけますか?」と相手の指示を受けます。

謝罪をした上で、反省をただ謝るのではなく、具体的に対策を明確にすることが、相手の安心につながります。<率直、誠実、対等、自己責任>が基本です。

この場合も同じですが、自分のことだけを考えているのではなく、相手の安心を確保することが優先されます。それには言葉ではなく行動が決め手になります。

「確認させていただけますか?」には、このように進めていきますが、問題ないか、さらに良い考えがあるかを確認することは、なにより相手の安心につながります。さらに相手の協力を得ることも可能になります。このプロセスを通じて信頼を得ることもできるのです。

「禍を転じて福と為す」と言いますが、言葉だけを使う人がたくさんいます。福にするには、心から相手を思いやった上での適切な行動が必要なのです。
謝罪する理由がわかっているから、このようにアサーティブに伝えることができるのです。パートナーに謝罪する場合も、もちろん同じです。



ビズ・アサーティブ〜依頼する

依頼するときに、ネガティブな感情が働いていたらどうなるか、見てみましょう。

「ご多忙中のところ、申し訳ありません。お願いがあるんですが、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」

このように言われると、まず相手は不安になります。なぜなら、自分がどうなるのか、全く分からないからです。

  • 「申し訳ありません。」(なにが)
  • 「お願いがあるんですが」(なんのこと)
  • 「ちょっとお時間」(どのくらい)


頼む側は丁寧に気を使っていることを伝えたいのでしょうが、聞く側はイラッとします。もし似たような申し入れを一日何度もやられるとストレスになります。
ノンアサーティブな態度というのは主張がないので、自分では相手を尊重したつもりでも、率直、誠実、対等、自己責任のいずれもが欠如してため、相手に責任を押し付けた形になるので、プレッシャーを欠けてしまっているのです。これでは、話を聞く前に防衛モードに入ってしまいます。

では、次のようにアグレッシブな場合はどうでしょう?

「申し訳ありませんが、ちょっと困っているので助けてくれますか。これお願いします。本当、ひどい話なんですよ。忙しいと思いますが、できるだけ早くお願いします。」

相手への配慮なしに、自分の感情と都合に注目しているだけなので、相手は不安になり反感を持ちます。最初からモチベーションは下がってしまいます。

  • 「困っているので」(なにが)
  • 「これお願いします」(なにを)
  • 「ひどい話なんですよ」(なにが)
  • 「できるだけ早く」(いつまで)


先の態度とは全然違いますが、やはり、率直、誠実、対等、自己責任のいずれもが欠如しています。

アサーション、率直、誠実、対等、自己責任を意識した依頼をしたらどうなるでしょう。
具体的に事実を伝える必要があります。5W1Hです。一番重要なことを先頭にもってくるニュースを伝える慣行です。Who(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) Why(なぜ)How(どのように)です。
先日は企画のサポートいただきありがとうございました。おかげでクライアントにも大満足していただけました。今日はそのフォローでお知恵を拝借したいのですがご協力いただけますか。今日の5時までにお渡しできるのですが、前回同様、九州のA社に今月19日の木曜日午前中に持参する20頁ほどのフォローのレポートに目を通していただきご意見いただきたいのですが、口頭で結構ですのでお願いできますか?

一番注目すべき点は、相手にノーと言える権利を尊重した上で、無理強いしていない点です。相手が時間の見積もりができるように、具体的に物量と時間を伝えています。おかげで相手は話を聴いている段階から安心できます。率直、誠実、対等、自己責任を意識してアサーティブに相手目線でコミュニケーションをしているのです。

やたら申し訳ないとへり下っていませんが、相手への配慮があります。これは営業活動の場合でも同様です。

言葉の上で、感謝している、サービスが良いとメッセージしても実態が伴っていない企業が目につきますが、それは顧客が判断することで、行動で示せば良いことなのです。

つまり率直、誠実、対等、自己責任のない営業をしていながら、実際には気にしていない。<Win-Win>が単なるスローガンになっているので思うような結果が出せないのですが、それすら無頓着なのです。実際には笑い話のようなことをしていながら悲痛になっている感情的な状態を修正するだけで、業績は改善できるのです。


ビズ・アサーティブ~本気でWin-Win

ビジネスは戦争ではありません。だから本気で<Win-Win>に取り組むことができます。
ところがまるで戦争のようにユーザを敵対視しながら<Win-Win>をめざそうという人がいます。全く精神構造がどうなっているのか、意味不明な人が存在します。まるで利益は相手を騙しても略奪するものだと言ってるようです。

自分も、相手も、同じように大事にするから、お互いにとってメリットが生まれます。自分も、相手も、同じように大事にするという在り方が、相手からの「YES 」を呼び込むのです。状況は刻々と変化しています。だからマネジメントだけではなくコントロールが必要になります。

このコントロールは支配という意味ではありません。微調整を続けるという意味です。コントロールはマネジメントしているすべてに付随します。それには思い込み、決め付けは妨害になるだけです。お互いの<Win-Win>だって変化していきます。
だから相手がどんな「Win 」を求めているのか、相手の話をしっかり聴くことはいつも欠かせません。たとえばクレドが毎年見直しされる理由もそこにあります。

どのような仕事でも、めざす結果を想定した準備なしの思い込みやっつけ仕事ではうまくいかないのです。相手、それが外部の人でも、内部の人でも、上司、部下、後輩でも、相手のある仕事では同じです。状況と同じく人は変わるからです。つまり刻々と変わる状況に対して相手目線でメッセージを送れないと相手に響くことも届くこともありません。

ビジネスでのコミュニケーションには主に
  • 依頼する
  • 謝罪する
  • 主張する
  • 断る
があります。



これを肯定的に、アサーティブに、することで<Win-Win>を実現します。

ビズ・アサーティブ〜無意味な防衛をしない・

相手の話をよく聞く。このこと自体はよく知られた当たり前のことですが、ところができていない人が、実はたくさんいます。
人と会話するとき、期待が大きいほど、予め防衛してしまう場合があります。

たとえば、
・ネガティブな結末を予想して競争的に構えてしまう
・話の内容を率直に受け止めず都合のよく歪曲してしまう
・聞きたいことだけ聞こえて、聞きたくない事は聞こえないようにしてしまう

このような聞き方をすると、率直、誠実、対等、自己責任というアサーティブな態度を失ってしまいます。
ラポールを架けられない状態を作り出しているのですが、当人は防衛の先回りに懸命に」なっているので気ずきません。第一相手が言ってることが正確に聞こえません。

相手の話は全部受容する必要はありません。反論があるなら、最後まで傾聴してそのあとに伝えればよいことです。聞くことと受容することは同じではありません。こんなことにならないように次の点に注意します。

・思い込みを働かせない
・相手の話を途中で遮断しない
・話題を変えない
・相手の感情を否定しない
・プレッシャーをかけない(時間、場所、道義的など)
・否定するために他の人の意見を持ち出さない
・自分の意見を伝える

予め防衛してしまうのは、自分にとってなんらかのデメリットを背負うことを恐れるからです。あるいは普段自分を等身大以上に自分を見せている人の場合もそうです。

双方がメリットを得られる「Win-Win 」を本気で目的にしていないからです。本気でないとは、「Win-Win 」が単なるレッテルになっている状態をいいます。
誰でも自分のことを優先したくなりますが、その誘惑にかられてしまうのは、具体的にどういう結末にしたいのか、客観的に考えていないからです。一旦不安を排除しましょう。受容すれば自分が意見を伝えれないと思い込んでいるのは、傾聴しない癖から離れられないからです。つまり負の循環にはまり込んでいるのです。

自分が率直、誠実、対等、自己責任というアサーティブな態度を遵守すれば、相手にも伝わります。すると相手もアサーティブな態度を遵守してくれます。お互いに気持ちのいいコミュニケーションが展開できます。「Win-Win 」の道が開きます。どちらにもメリットがあるからこそ、相手から気持ちよく「YES 」がもらえるのです。スムーズに効果的に進められるので「YES 」にたどり着くことができるようになります。


2015年3月16日月曜日

ビズ・アサーティブ〜ラポールを架けるアサーティブな伝え方

質問力をあげていくのは、テクニック(Do)を磨くためではありません。Win-Winというゴールを実現するためです。つまり在り方(Be)を相手に理解していただき信頼のラポールを築くためです。ラポールとは相手と自分にかける心の架け橋、信頼です。

アサーティブは、相手を知るだけでなく、自分を知ってもらうための在り方であって、誠実、素直、対等、自己責任の4本柱で成立します。質問することで4本柱を作りWin-Winに辿りつけるラポールを架けます。

LESS IS MOREという言葉があるように、「減らすことでより多くを伝える」のがコミュニケーションを深めるスキルです。


ひと言、言葉を添える。逆にひと言、言葉を減らすだけで、伝わりやすくなります。つまり余計なことを語るのではなく、より伝わるように無駄な言葉を減らしていきます、それができるのは相手のキーワードを尊重するからです。キーワードがなにか知る作業に欠かせないのが質問力なのです。

会話を多くすることで親しくなると勘違いしている人もたくさんいますがそうではありません。その証拠に優秀な営業マンが多弁であることはありません。大切なのはWin-Winに辿りつけるラポールを架けることです。

優秀な営業マンになれるのは、相手から信頼されるからですが、信頼を築けるのはアサーティブだからです。

つまり
  • したいことを、したいと伝える
  • して欲しいことを、して欲しいと伝える
  • できないことを、できないと伝える
  • したくないことを、したくないと伝える

自己主張そのものですが、誠実、素直、対等、自己責任の4本柱が見えてきませんか?自己中心過ぎないかと思う方も多いと思いますが、そのために熱心に質問を投げかけて傾聴するのです。Win-Winを実現するための解決策を探るためです。

優秀な営業マンになりたくて逆のことをしている人が多くいます。

  • したいことを、隠して伝えない
  • して欲しいことを、隠して伝えない
  • できないことを、できないと伝えない
  • したくないことを、したくないと伝えない

この態度でもってラポールを架けないようにしているのです。
自らWin-Winに辿りつけないようにしているのです。

だから相手は「自分のWinがない」と感じて遮断します。

そんなことになってしまわないように、必要なことを伝えるようにしましょう。

2015年3月15日日曜日

ビズ・アサーティブ〜ひとりでも多くの人を成功させる仕組み

黒人教会音楽を聴いて育った白人エルヴィス・プレスリーがテネシー州メンフィスのスタジオでロックンロールを誕生させたとき、バンドのひとりは黒人差別者たちのパッシングを思い浮かべ「やれ、やれ、俺たちはここに住めなくなるぞ」つぶやきました。
その音楽がラジオから流れ出したとき、若者たちの間で「おい、あれ聴いたか」が流行語のように町中で聞かれるようになりました。

その2年後メジャーデビューして全米、さらに世界へ届くようになったとき、イギリスの高校生だったローリング・ストーンズのキース・リチャーズは「俺たちも(あんな音楽を)やっていいんだ」と思ったと語っています。ビートルズのジョン・レノンも同じでした。

エルヴィス・プレスリーのレコードは他社の工場を借りないと需要に追いつかないほど売れる一方、コンサート会場では逮捕状を持った警官が場内を取り囲み、エルヴィスが体を動かすと即、逮捕する体制で行われました。レコードは放送禁止、焼かれましたが、ヒットチャートのトップは独占状態が続きました。

米国社会の強固な差別構造と偏見を打ち崩したのは、政治意識に目覚めた運動家ではなく、白人音楽と黒人音楽を融合したロックンロールに共感した若者、女性たちでした。その状態を恐れた大人たちは対抗しましたが、広がる流れを食い止めることができず、同時多発的に起こった黒人による公民権運動さらに女性たちのウーマンリブ(女性解放運動)、若者たちのベトナム戦争への反戦運動へと人権運動は拡大していきました。

積極的自己主張を奨励する考え方、<アサーション><アサーティブ>はその根幹を為す人権に対する意識でした。率直、誠実、対等、自己責任を柱にしています。

現在、<アサーション><アサーティブ>はコミュニケーションをよりよいものにするという観点から、個人のスキルアップをする目的で奨励されています。最後は個人の取り組み次第になりがちです。
これまでの取り組み経験から言わせていただくと、もっとも多いセミナー要請の理由は、「セールストレーニングの結果は良好だが、実際の現場に行くと効果が発揮できない」というものです。つまり「真実の瞬間」に対する対策として活用したいニーズがもっとも大きいのです。
また教育に携わる部門に強い関心があっても、営業部門では関心が薄いというようなことが起こりがちでした。そもそも「個人のやる気の問題」に帰結してしまう状態では成果は期待できません。個人、個人は気にかけていて悩んでも自分ではどうにもできないと判断しているからです。
自分が提唱する<ビズ・アサーティブ>は、個人の取り組みの枠を超えて「誰がやってもできる」をテーマにしています。それが組織力だからです。
ある者がやればできるが、他の者ではできないというのであれば、個人の力量の問題で個人のカタルシスの上では良くても事業所全体としては機能していない状態なのです。「彼がマネジャーになって業績が良くなった」という言葉はどこの世界にもあるでしょう。この言葉が寂しくありませんか?
と、言ってもこの言葉がなくなることはありませんが、減らすことは可能なのです。減らせば減らすほど、組織が機能しているということに他なりません。それは働く人の笑顔が増えている状態を意味します。働きがいのある職場が増えたということであり、ステークホルダーの満足も増えたことを意味します。

「ひとりでも多くの人を失敗させない」仕組み。それがビズ・アサーティブです。

2015年3月13日金曜日

ビズ・アサーティブ~質問力から始まるWin-Win

クレドを導入すると決めたら、ステークホルダーにインタビューする必要があります。ステークホルダーがなにを望んでいるか聞き出さないと正しく応えることができないからです。

そもそもアサーティブは積極的自己主張の意味ですが、自己主張するには相手のことを知っていなければ、単なるノイズになってしまう危険があります。

これを避けるには、「相手を知る」つまり聞かなければわからないのです。自分も相手も同じように尊重することがはじまりです。つまりしっかり聞くことから始めます。聞くなかに「イエス!」が潜んでいます。

相手の話を聞くにはトレーニングが必要です。ただ黙っていては相手は話してくれません。相手の話を聞くには質問力が必要なのです。質問が相手の心に届くほど相手は真剣に話してくれます。相手が自分を受け止めてくれた、受け入れてくれたと感じるところから、心の通った会話ができるようになります。

これが積極的自己主張の本当の意味です。

自分が伝えたいことを伝えられるようにするには環境を整えなければなりません。誰でも一番大切なのは自分のことだからです。

たとえば部下や同僚との間でどうでしょう?上司が話したことがどこまでどのように浸透しているか、調査してみれば分かります。どちらにしろ、上司は伝えました。みんな知っていると言いますが、現実はズレがあります。同じレベルで聞いていないからです。上司に危機感が薄いほどズレは大きいものです。

伝える側は聞いて当たり前と思い込んでいるので、聞いていると思いますが、聞いていてもうわの空ということがあるものです。心配事がある相手に、伝えることで頭がいっぱいの人の思いと内容は届かないのが普通です。運動でも準備体操があるように、話す、聞くにもあります。

上手に聞くには、相手が話しやすい話題から入るのが原則です。相手の人が話しやすい内容をさらに踏み込んで「話したい」と思う内容を質問します。

しかもイエス、ノーの二者択一にしてあげると答えやすくなります。この時に注意が必要です。ノーと返ってきたら、そこで話が完了してしまうような質問は避けます。

たとえば「ご家族でご利用される予定はありますか?」と今後の予定を訊ねて、ノーと言われたら続きません。
しかし、これを過去の経験にすると、ノーと言われても続けることが可能です。「ご家族でご利用されたこちとはありますか?」と訊ねてノーと言われても、もう済んだ話だから、続けることが可能なのです。

「リースを利用されるお考えはありますか?」と訊ねて、ノーと言われたら、もう続きませんが、「過去にリースをご利用になられた経験はありますか?」と訊ねたら、イエスでもノーでも話は続けることが可能です。「ご利用になられて、満足されましたか?不満がありましたか?」と続けることができます。さらに「もしまたご利用のチャンスがあった場合、利用しても良いとお考えですか?」このように二者択一を続けた上で、オープンエンドの質問を投げかけて自分の言葉でかたっていただくようにします。


「そうですか。チャンスがあり、条件がよければ、リースも満更ではないのですね。どのようなメリットがあれば、利用しても良いとお考えですか?是非お聞かせいただけますか?」

オープンエンドの質問の後は、相手の答えに反応した質問を重ねていきます。

「ローンを組むより、安くて、サービスがよければなによりのメリットだな」
「どのようなサービスがあれば魅力的ですか」
「メンテナンスの費用が安いといいな」
「どのようなメンテナスを重視されていますか」というようにキャッチボールしていきます。
簡単ですが、しっかり聞いていないとキャッチボールできません。

ここが重要なのです。自分が聞きたいことしか頭にないと、しっかり聞けなくなります。
多いパターンがある程度、会話が進むと、自分の聞きたいこと、話したいことに、ジャンプするように誘導してしまうことです。焦る気持ちは分かりますが、相手優先でないとほぼ必ず脱線してしまいます。相手がしたい話を聞くのが原則なのです。

自分に都合のよい話でWin-Winを実現することは不可能です。

ここで取り上げた内容は、営業レベルの簡単な会話例です。
これが企業対企業でWin-Winを実現するとなれば、より複雑で高度になりますが、基本は同じです。


まずこの基本を設問を変えて、繰り返しトレーニングして質問力をアップしていきます。


ビズ・アサーティブ〜遠くにあるものを引き寄せる。



企業理念やお客様満足をテーマにしたスローガンは巷に溢れていますが、「ステークホルダー満足」でお分かりのように<ビズ・アサーティブ>で提唱するクレドはそれとは違います。

お客様満足をテーマにしたスローガンとクレドとの決定的な違いは、スローガンと比べてクレドの方が圧倒的に文字数が多いことで全く別物だと理解できます。

その理由は、スローガンが事業体の視点でしかないのに、クレドを活用する<ビズ・アサーティブ>がステークホルダーの視点に立っているからです。ステークホルダーの視点に立つことで関係性を重んじることが現実になります。

そもそもアサーティブは類似語も含めどれも<関係性>にこだわっています。

  • 【アサーション Assertion】遠い関係のものが近づくようにする活動
  • 【アサーティブ Assertive】自他ともに大事にする表現をする
  • 【アサーティブネス Assertiveness】自他ともに大事にされた実感の持てるWIN-WINな関係性

もともとは遠く離れている関係性をWIN-WINの関係に近ずけることこそ、<ビズ・アサーティブ>の目的です。ですからステークホルダー(利害関係者)つまり経営者、お客様、恊働する従業員仲間、従業員の家族、取引先、協力会社、地域社会、株主らの視点でどうすれば競争優位に立てるかを見据えて、それぞれの立場の満足を追求します。

利害関係者、競争優位という言葉から、反射的に儲けの追求と思う方も多いでしょう。しかし、結果として増収増益があるにしても、そのためにアサーション、アサーティブ 、アサーティブネスが必要なわけでもありません。経営者の満足とお客様の満足は違います。従業員の満足も違いますが、家を支える柱がなければ家を建てられないように、WIN-WINを支える柱がなければWIN-WINは実現できません。

それぞれ利害が敵対した状態で、「ステークホルダー満足」を実現するには、競争優位の追求つまり増収増益を核に据える必要が生じます。なぜ増収増益でなければならないのか、その理由はステークホルダー各位の視点に立ってクレドを作成していただくと分かります。ステークホルダー各位の視点に立たないアサーティブな関係は時間と共に消滅してしまいます。

ここが重要な点ですが、アサーティブを個人のメンタルなスキルアップの問題と捉えていると、元来のノン・アサーティブ(非主張的)な態度が出てきて最終的にはウヤムヤになります。

次はノン・アサーティブ(非主張的)な態度がもたらす失敗例です。

・言いたいことが率直に言えず、相手のぺースに陥り交渉が実らない。
・交渉で緊張から、要領を得ない説明になり、不調に終わってしまう。
・苦手意識が働いて「NO!」が言えないため、相手の言いなりになっている。
・プレゼンのとき、頭の中が真っ白になり、予定したように話せなくなる。
・朝礼のスピーチで、すべってしまい毎回落ち込んでいる。
・上司に納得してもらえる説明ができず、イライラとモヤモヤに苛まれる。


なぜこんな風になるか。あるいは、こういうことはどうでしょう。

・相手をコントロールしようとして、気持ちが高ぶり、まとまる話もまとまらない
・相手の依頼を受け入れることができず怒らせてしまう。
・部下を注意するとき、感情的なり、怒った後、いやな気分になり自分を責めてしまう。

こちらは、アグレッシブ(攻撃的)な態度のため、失敗する例です、

どちらも、自分と相手にとって好ましくない態度です。

アサーティブになれない背景には、
・大事にされたい気持ち
・必要とされたい気持ち
の空回りがあります。

個人が成長するにはリーダーシップと同じく「大義」が必要です。大義つまり方向性となる北斗七星がないと、様々な事態に揺れ動いてしまいます。リーダーシップと大義は切っても切れない関係にあるものです。ダッチロール状態に陥った事業体(または家族)にリーダーシップが働いていないことが共通しています。

この大義に相当するのが<ステークホルダー満足>です。大義は社会に役立つ、人々を幸福にするなどですが、ステークホルダーごとにWINーWINの条件を設定していくと、増収増益が必要になることがわかります。株主がそうだし、地域社会もそうです。恊働する従業員仲間、従業員の家族を想定するだけでも分かるでしょう。

さらにWINーWINのプロセスに、応援されることが必要なことも分かります。共感、共有なしに目的にたどり着かないことも分かります。つまり「どうして売るか、儲けるか」だけに集中している事業体では「お客様満足」を唱えながら事実上ステークホルダーと敵対関係に陥っている矛盾を抱えていますが、ステークホルダーごとにWINーWINの条件を設定して目的にする場合には矛盾を超える作業が必要になります。するとアサーティブになれない背景にある、大事にされたい気持ち、必要とされたい気持ちは実は敵対関係と表裏一体だと分かります。

ステークホルダーからすれば、「立場が逆だろう」と思える状態にあり、都合の良すぎる話でしかないのです。これだけをとっても、すでに競争優位に立つことは未来永劫不可能な差別化できない状態にあることが分かります。お客様満足を唱えながら、どんどんお客様から離れようとしている実態が明白になります。実際はノンアサーティブな状態なのです。


ステークホルダーの傍に寄り添うように立ってこそのビジネスなのです。クレドを活用して全従業員でそれを現実のものにします。その態勢に入った段階で、成功は約束されたも同然なのです。